アスレティック コラム

Athletic column


◆2nd Step: アスレティックトレーナー@慶應ユニコーンズ

今回は本塾バスケット部での私のアスレティックトレーナーとしての活動についてお話ししたいと思います。

一言にトレーナーと言っても皆さんの中には実際にどんな事をしている人か詳しく分からない方もいると思います。アメリカでは確立された資格と職業なので明解ですが、日本ではマッサージ師、針灸師、接骨師、パーソナルトレーナーなどと色々なバックグラウンドの方がトレーナーとして活動しています。私の専門は医学の立場から選手をサポートするメディカルトレーナーと言ったほうが分かりやすいでしょう。特に次の役割がメインとなります;傷害の評価、応急処置、治療、リハビリテーション、トレーニング、コンディショニング、栄養指導などです。

選手が怪我をした際には迅速にその怪我を評価(受傷部位、種類や程度)して、適切な処置をしなければなりません。そしてプレーを続けられるか、医師に診断してもらう必要があるかなども判断して選手の安全を確保します。特に大怪我の場合にはコートでの対応がその後の選手生命を決めてしまうこともあるので、私のように訓練された専門家が現場に常にいる必要があると思います。

受傷後の選手には「早く、安全に復帰させる事」を目標とした積極的リハビリテーションを行います。一般のリハビリとは違う点は、競技復帰が目標なので練習に参加できなくても筋力、持久力、筋協調性、バランス感覚などの体力を落とさずに、患部をリハビリによって治していきます。もちろんスポーツドクターとも連携しながらその選手に最適な治療やリハビリ方法を考えていきます。特にバスケットの競技特性を理解したリハビリを行うことによって、スムーズに競技に復帰したり傷害の再発を予防します。

怪我の治療法で一番良いのは「最初から怪我をさせない事」です。突発的な事故が原因で起こるものもありますが、予め防げる傷害も多々あります。適切なウォームアップやクールダウン、ストレッチやアイシングは代表的な予防方法ですね。このように選手自身ができる体のケア(メンテナンス)も個人に合わせて指導していきます。また体の使い方が悪かったり、筋力バランスが崩れている、解剖的変形がある選手などの傷害のリスクが予め高い選手には問題が発生する前に不安材料を改善できるようにします。

コンディショニング作りの一つの考えとしてトレーナーは栄養学にも精通していかなければなりません。いくら良い練習やトレーニングしてもしっかりとした栄養補給なしでは、何もレベルアップすることはありません。何をどのくらい、どのタイミングで食べればよいかという基本的栄養から、体重増量や減量などのスポーツに対応した栄養指導も行っています。特に初めて一人暮らしをするような学生は偏った食事をとりがちなので、注意して栄養指導を徹底させます。

また私はストレングストレーナー(フィットネスコーチ)も兼任しているので、選手の年間のトレーニング計画、メニュー作成、トレーニングの指導などを行っています。昨年からウエイトトレーニングの設備もOBの方々のお陰で大変良くなりました。ウエイトトレーニングも一年中スクワットやベンチプレスだけをしていればよいわけでなく、リーグ戦やトーナメントなどに体のコンディションがピークになるようにパワートレーニングやスピードトレーニングなども取り入れていきます。そして正しい体の使い方や走り方などの基礎的な動きも指導することによってよりバスケットボールのパフォーマンスを上げていきます。また定期的な体力測定なども細かく行い選手に足りない部分をデータにして示したり、目標を設定することも行っています。

今回お話したように選手のコンディションを後ろからそっと支えるのがアスレティックトレーナーの最大の役割です。もちろん身体だけでなく心のケアも忘れないように心がけています。また今回お話した役割以外でも選手が必要とあれば、またはチームの勝利のためにできる事は何でもやってみようと思っています。日本のアマチュアバスケットのチームで私のようなプロのトレーナーをつけるチームは増えてきているようです。しかしながら、私のようにチームの全ての練習と試合まで完全帯同できる環境を作っているところは慶應大学以外にはないと思います。体や怪我の日々の変化に対応するには週1回ではわかりませんから、この形が一番良いと思います。この点で慶應大での環境は私にとっても選手にとっても幸運な事だと思い日々感謝しています。そして、このようなチームがもっと増える事を願っています。

   

◆バックナンバー

前のページへ ページトップへ

 

バスケットボール三田会員ページ