

| 大学男子メンバー表 | 大学女子メンバー表 | ||||||||||
| 部長 | 井田 良 | 法学部教授 | 部長 | 井田 良 | 法学部教授 | ||||||
| 監督 | 戸崎 洋 | S49年卒 | 監督 | 濱中貞一 | S29年卒 | ||||||
| コーチ | 佐々木三男 | コーチ | 佐々木毅 | S59年卒 | |||||||
| Aコーチ | 内田好治 | S58年卒 | Aコーチ | 鈴木 剛 | H11年卒 | ||||||
| Aコーチ | 入江範昌 | H5年卒 | トレーナー | 木塚孝幸 | S63年卒 | ||||||
| トレーナー | 水野隆敏 | 政治4 | 慶應志木 | Aトレーナー | 原 千暁 | H10年卒 | |||||
| 主務 | 大滝隆司 | 商4 | 新潟 | 主務 | 畑川由樹子 | 政治4 | 女子学院 | ||||
| 4 | 佐藤健介 | 総合4 | F | 188 | 京北 | 4 | 大石里美 | 法律4 | 163 | 静岡 | |
| 5 | 落合祐輔 | 環境4 | G | 179 | サレジオ学院 | 5 | 畑川由樹子 | 政治4 | 161 | 女子学院 | |
| 6 | 戸崎 健 | 商4 | F | 189 | 慶應義塾 | 6 | 二木 彩 | 総合4 | 162 | 慶應NY学院 | |
| 7 | 伊東秀輔 | 経済3 | G | 175 | 慶應義塾 | 7 | 西川真由佳 | 理工3 | 160 | 慶應女子 | |
| 8 | 奥本将勝 | 総合3 | C | 191 | 船橋 | 8 | 吉田祐子 | 経済2 | 167 | 慶應女子 | |
| 9 | 園 基史 | 文3 | F | 187 | 慶應義塾 | 9 | 桑田理絵子 | 政治2 | 160 | 慶應湘南 | |
| 10 | 中村圭一郎 | 経済3 | F | 183 | 慶應義塾 | 10 | 高木瑞紀 | 総合2 | 160 | 沼津東 | |
| 11 | 渡辺伸吾 | 政治3 | G | 185 | 浜松北 | 11 | 江龍亜希子 | 環境2 | 160 | 慶應女子 | |
| 12 | 石田剛規 | 環境2 | F | 186 | 日立一 | 12 | 猪野聖子 | 文2 | 175 | 熊谷女子 | |
| 13 | 石塚勝也 | 政治2 | F | 184 | 慶應志木 | ||||||
| 14 | 志村雄彦 | 環境2 | G | 161 | 仙台 | ||||||
| 15 | 関 淳平 | 法律2 | G | 180 | 慶應義塾 | ||||||
| 16 | 辻内伸也 | 法律2 | G | 181 | 洛南 | ||||||
| 17 | 松本勇樹 | 政治2 | F | 182 | 慶應義塾 | ||||||
| 18 | 橋口和史 | 総合1 | C | 192 | 倉敷青陵 | ||||||
| 19 | 六人部生馬 | 政治1 | F | 186 | 慶應義塾 | ||||||
「再生・reborn」慶應のバスケットは、生まれ変わった。
昨シーズン慶應は、歓喜に始まり、溜息に終わった。春のトーナメントでは、1部の強豪校を次々に破り5位入賞を果たしたが、慶早戦は1点差で惜敗。秋のリーグ戦は、2部4位で終わり、入れ替え戦への出場さえできなかった。その後のインカレも初戦敗退。春の慶應コールを聞くことはなかった。
頂点に立ちたい。掲げるモットーは、「全勝」。慶應は、夢を追う。万年2部のチームが大それたことを、と囁かれるであろう。しかし、決意は固い。昨シーズンに対する強烈な悔しさが、チーム全員を支配している。こうして、シーズンインを迎えた。まず、スタッフ陣に新体制を確立。既存の「慶應バスケット」に囚われない、新しいスタイルのバスケットボールを目指す。「個々の身体能力が劣っていようとも、チームは勝てる」「誰が得点し、誰がリバウンドを獲り、誰がゲームをコントロールするのか、一人一人が考えよ」新ヘッドコーチ・佐々木氏の強烈なイニシアチブのもとに基礎の基礎から練習内容を一変させた。豊富な知識と経験に、勝利への貪欲な姿勢が結合し、大きなストリームを生み出した。クリエイティブ・オフェンス、トラップ・ディフェンス。めまぐるしく展開されるバスケットボールに、誰もが目を奪われるに違いない。
「慶應のバスケットはつまらない」昔からあるこのフレーズなど、もはや何の真実味も帯びなくなるであろう。
慶應の大黒柱、今季主将としてチームの明暗を分ける男、それが、佐藤健介(総4)である。昨年佐藤がヤングメンの代表に選出され、夏季にチームから離れていたことがチーム不振の主因として挙げられるほど、彼の存在が不可欠なのである。試合中の存在感は勿論のこと、日頃の練習でも、的確なアドバイスやハッスルで練習の質を向上させ、チームの士気を高めている。昨年まで慶應では、佐藤は周りの選手をアシストするようなプレイを求められてきた。しかし、今年は違う。佐々木コーチには、「40点取れ」という指示を出された。佐藤に、ようやく本気で点数を取りにいくという役割が課された。本人は、苦笑しながらも、まんざらでもない様子である。ウエイト・トレーニングによって、一目でわかるほど逞しくなった。「クレバーでしなやか」と評される彼のプレイスタイルに、今季は、「力強さ」が加わることだろう。世界レベルのプレイを、見逃すことなかれ。
高校時代に手にした数々のタイトルを手に、鳴り物入りで大学デビューした志村雄彦(環2)、向かえた昨年の慶早戦。逆転への最後の望みを託し、志村が放ったシュートはリングに弾かれた。志村は、チームメイトの胸の中、泣いた。あの姿は、忘れられない。それだけに、今年の慶早戦勝利にかける想いは、誰よりも強い。2年生ながら、すでにリードガードとして、チームを牽引する。
普段の練習においても、誰よりも声を出し、誰よりも一生懸命プレイする。彼の小さな体には、とてつもなく大きく、熱い魂が宿っている。
志村に、注目して欲しい。いや、言うまでもなく、自ずと引き込まれてしまうだろう。
今年で3年目を向かえ、上級生となった奥本将勝(総3)が急成長を見せている。入部当初から期待されていたが、コーチとの衝突等が原因で、試合に出場する機会は少なかった。しかし、新コーチ・佐々木氏にチャンスを与えられると奮起し、体躯を活かし、ゴール下の存在感をアピール。ディフェンス面ではまだ課題が多いが、リバウンド、得点、パスさばきなどでは、大きく成長し、これからの活躍が期待される。
シーズンイン当初から専門家の指導を受けて行われてきた、ウエイト・トレーニング。この成果が著しいのが、石田剛規(環2)である。持って生まれた運動神経のよさ、体のバネに一層磨きがかかり、オフェンス、ディフェンスの両面で、力強さが飛躍的に向上した。まさに、慶應のポイントゲッター、得点マシンと呼ぶにふさわしい。本人は、ステールからワンマン速攻でダンクを決めると強気の発言。要注目選手だ。
「爆発の予感」
他のチームのことは知らないが、慶應のシューターは殆どが「才能型」である。完成されたフォーム、繊細なシュートタッチ、理想的なボールの回転等など。中学、高校時代からシューターとして腕を鳴らしてきた者たちである。しかし、この男、園 基文(文3)には過去にシューターと呼ばれた経歴はない。シューターフォームやボールの回転は、お世辞にも綺麗とは言いがたい。シュートモーションも、それほど早くない。だが彼は慶應のシューターと呼ばれる。一年時から試合に出場し、トーナメント、リーグ戦と、数々の場を経験し、確実なる成長を遂げてきた。その中で、自分の居場所を探し続け、苦しんだ時もあった。3ポイントシュートという強力な武器を身に付け、今コートに立つ。
彼の「粘り強いシュート」を見て欲しい。「努力型」のシューターとして、歴史に名を刻む姿を。
慶應義塾大学女子バスケットボール部は今年で創部50周年を迎える。今年は新しいスタッフを迎え、技術面、身体面、医療面でのサポートがより一層充実し、恵まれた環境の下でのスタートとなった。バスケでは無名の高校出身の小柄な選手ばかりであるが、その一人一人の持つ特徴と個性を余すところなく引き出し、全員出場で試合をするのが今年の慶應の特徴である。「楽しく・強く・熱く」をモットーとする全員バスケで、慶應義塾女子バスケ部のベンチは常に活気にあふれている。
小柄ながらアグレッシブなディフェンスとスピード感あふれるカットインを持ち味とし、まさに慶應らしさを体現している選手である7番西川を筆頭に、眠れる能力を開花させつつある8番吉田のシュート、声でプレーで常に熱くチームを盛り上げる9番桑田のブレイク、鋭い切れ味でディフェンスを襲う10番高木のカットイン、冷静な判断と燃える闘志を併せ持つ11番江龍の1on1、体を張ってプレーに取り組み、今やチームに欠かせない存在となった12番猪野のゴールしたと、コートを走りまわる選手たちのプレーにご注目頂きたい。
そしてこれらの個性あふれる選手たちをまとめ、引っ張っていくのが、3人の4年生である。練習内外でチームを支え、誰もが信頼している6番二木、常に全力投球のがむしゃらなプレーでチームに火をつける5番畑川、そしてこの個性あふれるチームをまとめあげ、中でも外でも点の取れるチームの大黒柱4番大石である。この慶早戦が引退試合となる二木を始めとして、最後の慶早戦にかける意気込みは、鬼気迫るものがある。
今日は年に1度の慶早戦である。選手一同早稲田への思いを一つにし、伝統の一戦にふさわしい熱い戦いをしてくれるだろう。
今年の早慶戦は第60回という記念すべき大会である。そんな節目の大会にキャプテンを務める二人の選手に、われわれ早慶戦実行委員会はインタビューを行った。早大・藤野素宏と慶大・佐藤健介。彼らは高校時代からの仲良しでもあり、良きライバルとしてお互いを高めあってきた関係である。これをご覧になっている皆様には、そんな彼らのインタビューを通して、少しでも今日の決戦を楽しんでいただけたらと思う。
司会(以下、司) えー、今回のプログラムのために早慶両キャプテンとしてインタビューを行いたいと思います。質問の内容は、バスケットに限らずけっこう色々あるから、そのつもりでよろしくね。
早大・藤野 素宏(以下、藤野) オッケイ。
慶大・佐藤 健介(以下、佐藤) こちらこそ、よろしくね。
司 じゃあまず最初の質問で、バスケットを始めたきっかけは?藤野君から。
藤野 小さい頃、アメリカで生活していたんですよ。で、向こうでは日本の野球みたいにバスケが盛んでテレビ中継とかは見てたんだけど、まあ自分がやるのは遊び程度で。でも帰国を間近に控えたある日に友達の家族が「最後だから」ってNBAの試合を見に連れてってくれて。それがもう、すごかった!とにかく感動で。それまでは野球が好きだったんだけど「日本帰ったら絶対バスケやるぞ!」と。それがきっかけです。
佐藤 僕のきっかけは、やはりバスケットをやっていた兄の影響ですね。兄の影響を受けてバスケットに興味を持ち始めたときに、アメリカ初代ドリームチームと漫画「スラムダンク」に出会って、中学入学と同時にバスケットを始めました。
司 小学校の頃の思い出は?
藤野 小学校は、「転校続き」って思い出しかないなぁ。荻窪から柏へ行って、4年生になってアメリカ行って。それでアメリカの中でも転校して。いろんな学校行ったんで、友達の数なら負けなかった(笑)。
司 佐藤君は?
佐藤 小学校の頃はサッカーに没頭してました。きっかけはJリーグの発足と漫画「キャプテン翼」です。
藤野 漫画ばっかじゃん(笑)。
佐藤 (笑)こう考えるとね。漫画の影響力ってすごい。
司 中学校の頃の思い出は?
藤野 やっぱりバスケットを本格的に始めたことが思い出としてあるかな。あとは塾。中2の頃から受験勉強ってことで塾に通ったんですけど、行ってたとこがやたらと厳しくて。あれは辛かった…。
佐藤 中学の時か…。同じ中学校じゃなかったんだけど、高橋範昌という目標の選手との出会いがありましてね。彼とは親友と呼べる仲になったんですが、不幸にも彼は14歳という若さでこの世を去りました。あの時の悲しみは一生忘れないですね。同時に皮肉にも、彼の死が僕をここまで成長させてくれたような気がしています。…はい。
司 なるほど。では高校の頃の思い出は?
藤野 うーん、やっぱりバスケしかないかな。でも僕の高校(早実)は「先生にやらされるバスケ」っていうことじゃなくて「自分たちで考えるバスケ」だったから、すごく充実してた。苦労はやっぱりあったけど、自分の代で21年振りにインターハイに出場できてしかも優勝候補を倒したってことが自信になったし、その頃できたいい経験が今につながっていることは間違いないですね。
佐藤 僕もバスケットなんだけど、すごく印象に残っているのは、アジア大会に出場するために早稲田の麻生と共に全日本高校選抜チームの一員としてインドのカルカッタに行った経験なんです。それまで映画の世界としてしか考えていなかった場所で実際に生活することで、今の自分の環境がどれほど幸せなものなのかってことを痛感させられました。
司 やっぱり高校バスケでお互いいい経験してるんだね。じゃあ、今の大学生活について何か感想は?これも藤野君からいこう。
藤野 そうですね。大学生活って時間に余裕が持てるから、自分自身を見つめ直す機会が増えましたね。今まで考えてもいなかった将来のことに関しても真剣に考えるようになったし。
佐藤 僕は大学入学と同時にわがままを言って一人暮らしを始めたんですよ。このことで親のありがたみ、偉大さを痛感している毎日です。もっとも、もっと以前から気がつかなければいけないんでしょうけどね(笑)。
藤野 ホントそうだよな!僕も去年から一人暮らしをさせてもらってるんですけど、まさに健介の言う通りで、両親には感謝の気持ちでいっぱいです。
司 では、この辺からバスケットについての質問にしますね。まず、今までやってきた大学バスケットについてはどう思う?これは佐藤君からいこうか。
佐藤 そうだね。ウエイトトレーニングを中心としたトレーニングの大切さを認識できるようになりましたね。自分は中学高校と本当にケガの多い選手だったんだけど、大学入ってトレーニングを始めてからは、ほとんどケガをしなくなりました。今は「きれい」な動き、つまりムダのない動きを模索しています。
司 藤野君は?
藤野 大学のバスケか…。うーん、どうなんだろ。まあ一応自分はずっと主力で使ってもらってきて、たくさんの試合を経験できたんで、バスケットに対する姿勢みたいな部分が一番成長したかなって思います。もちろん健介が言ったように肉体的にも、それから技術的にも上達しているんだろうけど、それよりもバスケに対する知識というか。今まで見えてこなかった部分が見えてきて、少しは「バスケットを知れた」かなって。どういう時にはどうプレーすべきかっていうのが少しづつわかってきたみたいな感じはありますね。自分の幅が広がりました。
司 では藤野君に、過去に慶應と戦った時の感想は?
藤野 慶應は、まあなんと言っても大の仲良しの健介がいるから、健介と一緒にプレーできるのが楽しみっていうのがありますね。で、慶應っていうチームは過去の経歴がある選手が少ないにも関わらず、あれだけのチーム力があるということは、とにかくみんながバスケに対してすごく真面目なんだと感じます。バスケットは個人の能力だけではなくって、日頃の積み重ねが何より大事な競技なんだなって実感します。うち(早稲田)には少し足りないものを持ってるチームですね。
司 逆に佐藤君、早大と戦った感想は?
佐藤 僕も藤野と一緒で、仲のいい藤野と麻生がいるから、個人的には幸せな気持ちで試合をさせてもらってます。早稲田と慶應の試合って、お互い相手のことを知り尽くしている同士ということが毎回いい試合になる要因の一つだと思います。
司 なるほど。じゃあ、お互いについてはどんな風に思ってるの?
藤野 健介はほんとに、よく言われているように「クレバー」で、相手の先を読むプレーがすごく上手い。実際僕も健介のプレーを見てためになることがすごく多いし、こいつみたいな選手になりたいなってさえ思う。自分も健介も、特別に身体能力があるわけじゃないから頭で勝負しなきゃいけない。そういう点ではお手本みたいなプレーヤーです。でも、バスケットに関してはそういうとこあるけど、僕はみんなが知らない普段の健介も知ってるわけで(笑)。まじめそうな感じがするだろうけど、そんなこと全くないし!(笑)まあそういう人間的なギャップがまたこいつの魅力なんだろうけどね。
佐藤 藤野はディフェンスに喜びを感じられる偉大な選手です。今以上に高く評価されるべきだと思ってます。バスケ以外でも仲良くさせてもらってるんだけど、本当に頭の回転が速くて、人間として尊敬してます。
藤野 やめろよ、いきなり(笑)。
佐藤 うそっぽく聞こえるかもしれないけど(笑)、すべて事実です。
司 そうなんだ(笑)。じゃあここからですね、ちょっと昔の話になって、高校時代にお互いが戦った時の思い出を聞かせてほしいんだけど。二人は東京の高校で早実(藤野)と京北(佐藤)で何度も対戦してるよね?
両者 うん。
司 じゃあ佐藤君から。早実とやってて、どうだった?
佐藤 高校の時から、藤野と麻生には苦しめられました。当時の早実は、言われたことだけしかできないチームではなかったから、その点ですごくやりにくかったことを覚えてます。
司 藤野君は?
藤野 実は高校時代は健介とそれほど仲良しってわけじゃなくって。高3の国体で仲良くなったんですよ。それなんでどんな人かはわかんなかったけど、やっぱり当時から健介は有名で騒がれてたから「こいつには負けたくねー!」って勝手に思ってました(笑)。一回、東京の決勝リーグの試合で、健介からチャージングを3回も取ったことがありましてね。京北とやるときは必ず僕が健介にマッチアップしていたんですが、あのゲームはすごい自信になりましたね。自分はディフェンスが持ち味なんじゃないかな、って気付いた試合でもあったし、健介と戦って得たものっていうのはすごくあります。
司 二人は対戦もしてるけど、高3の国体では同じチームメイトとしてプレーしてましたよね?その時に感じたことってどんなこと?
藤野 まあ短い期間だったんだけど、健介ってやつはとにかく練習熱心なんだなって感じて。けっこう辛い練習をチームでして、みんなもう帰る頃になっても健介だけ一人残って練習してたり。そんな姿を見て「本当にすごい選手だな」って感じました。それと、こいつはあんまり周りの選手にいろいろ口で言うタイプじゃなくて、むしろ自分が体を張ってみんなを納得させるようなところがあって、そこは自分とは違うなって思った。僕はどっちかっていうとけっこう口うるさく言い続けるタイプだから。
佐藤 僕が藤野に感じたことは、こいつは想像以上にいろんなことを考えてプレーしていて、改めて敵にしたくない選手だな、って感じました。大学に入ってからは麻生も含めて同じチームでプレーしたかったんだけど、今は早稲田と慶應に分かれたからこそ、お互いが刺激しあって、切磋琢磨できたんじゃないかな、と思っています。
司 じゃあそんなお互いへ、簡単に一言どうぞ!
佐藤 うーん。「歴史に残る試合にしよう!」かな。
藤野 一言でしょ?……、今日は焼き肉にする?それともしゃぶしゃぶ?……すんません、うちわネタで(笑)。
司 ……、話は変わりますが(笑)、今までのバスケット人生で影響された人って誰?
藤野 まずはじめは、アメリカでバスケ見てるときは「マイケルジョーダン」しか見てなかったから。月並みだけど(笑)、まずはそれかな。で、影響された人って言うとやっぱり自分の中学の時の先生です。松野先生っていう人なんだけど、バスケの技術がどうこうっていうんじゃなくて、考え方みたいなのがすごく影響を受けて。とにかく曲がったことは嫌いで、一度決めたらやり通すみたいな熱い先生で。はい。その先生に自分はとても影響されていると思います。
佐藤 僕はさっき言った中学時代の高橋範昌です。僕の中で彼の存在はこれまでも、そしてこれからもすごく大きなものなんです。
司 はい。わかりました。では「バスケットのここが面白い!」ってどんなとこ?
藤野 やっぱり人が予想しないようなプレーが出てきた瞬間が一番面白いと思う。その中でも自分としてはディフェンスが好きで、なんかこう、「へへ、やったぜ」みたいなディフェンスがすごく面白い。シュート入れるのが好きって人がほとんどだとは思うけど自分はちょっと違うかな。NBAとか見てても、難しいシュートが決まったら「すげぇ」とは思うんだけど、渋いディフェンス見るほうが面白いと感じます。だからコービーよりもピッペンですね(笑)。ジョーダンは何でもできるから一番すごいと思うけど!
佐藤 僕個人としてはオフェンスをしているときよりもディフェンスしているときのほうが楽しいですね。この点では藤野に似ているかもしれないけど。
司 じゃあ、お互い今年キャプテンをやるにあたって、意気込みは?
藤野 うちは人数も多いし個性も強いからまとめるのは大変だろうけど、信念を曲げずにがんばりたいですね。実際僕に対する不平や不満も出るだろうけど、正しいことを続けることで良い結果を生み出せるような、そんなチーム作りしたいです。
司 慶應を率いる佐藤君は?
佐藤 うーん、いい意味でキャプテンをやるということをあまり意識しないように、でも締めるところは締めて、メリハリをつけてやっていきたいです。
司 今日の早慶戦はどんな試合にしたい?
藤野 早慶戦ってたくさんのお客さんが見に来てくれるから、お互いが100%の力を発揮できれば最高かな。どっちかが調子悪くて一方的な試合っていうのじゃなくて。力の差がそこまであるとは思えないから、最高潮のチーム同士がぶつかり合って決着が付けばお客さんも楽しめるだろうし。ここ2年間は1点差の試合が続いてるから、早慶戦の面白さってそこだと思います。
司 佐藤君はどう?
佐藤 とにかく、練習してきたものを表現するだけです。
司 では、今年全体としての目標は?チームとしても、個人としても。
藤野 チームとしては周りの人が見て「早稲田っていいチームだな」って思ってもらえるようなチームにしたいです。プレー面でももちろんだけど、バスケに対する姿勢っていう面も含めて。決してあきらめないとか、常に一生懸命とか。見ていて気分が良くなるような、そんなチームにしたい。具体的な目標でいくと、やっぱり一部昇格を含めて、今までの過去の成績よりも今年を最高にしたいです。全部の大会において。個人としては、特に精神面でチームの支えでありたい。プレイの面では自分を犠牲にしてでもチームメイトの良いところを引き出してあげられればと考えています。
佐藤 チームとしては、学生らしく明るくアツいチームを目指して、試合という試合はすべて勝つことを目標に取り組んでいきたいです。個人としては、部員全員を信じて、自分の周りすべての人へ感謝の気持ちを忘れずに、楽しく取り組んでいきたいです。
司 卒業後はどんなことをしていきたい?
藤野 今考えているのはテレビとかマスコミ関係の仕事で、バスケットボールをメジャーにする活動をしたいです。バスケットそのものは人気があるんだけど、日本のそれはいまいち。そんな現状だから何かきっかけが必要なんでしょうね。バスケットを盛んにするための仕事に関わりたい。そんなことを考えてます。
佐藤 僕はまあ、あまり急がずに、いろいろなことを多角的な視点から考えていきたいですね。
司 では最後に、今日応援しに来てくれたファンへのメッセージを一言!
藤野 メッセージ!?うーん、なんだろう…。言いたいこといっぱいあり過ぎるな(笑)
司 別に長くてもいいよ!(笑)じゃあ佐藤君からいこうか?
佐藤 オッケイ。えー、自分のためにバスケットボールに取り組んでいる僕らの姿を見て、何かを感じていただければと思います。
司 なるほど。さすが佐藤君、きれいにまとめるね。藤野君は?考えた?
藤野 (かなり長い時間考えて)えーっと、『チケット代 < 僕らの試合』にしてみせます!
司 よく分かんないんだけど!(笑)
藤野 見に来てくれた人に損はさせないってことだよ(笑)。なあ?
佐藤 ああ。
二人のバスケットに対する熱い情熱と、お互いを尊敬する気持ちが印象的なインタビューだった。今まで様々な舞台で戦い続けてきた藤野と佐藤が、全力でぶつかる最後の早慶戦。また一つ彼らの歴史に一ページが加わることだろう。
〔写真提供 早稲田スポーツ新聞会・慶應スポーツ新聞会・秋山幹雄氏〕